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【もりたうつわ製作所 / 森田 浩路】陶芸の枠に縛られず、新しい価値を生み出す

高知県土佐市に工房を構える「もりたうつわ製作所」で陶芸の製作や陶芸を交えたイベントの企画も手掛ける森田浩路さん。陶芸の楽しさや奥深さを伝えるため、地域活性化につながる活動や文化の発信に尽力されています。陶芸への熱い想いをお伺いしました。
 【もりたうつわ製作所】森田 浩路

陶芸に魅せられた大学時代

 陶芸を始めたのは、大学の入学時に陶芸サークルに入ってから。1年経ってから先輩と灯油窯での温度帯ミスなどの大失敗をしてしまい、そこから「これは難しい!でも面白い!」と。大学に 泊まり込みで製作に打ち込むほど、のめり込んでいました。
 
それまでにも鉄や革、映画の製作などに手を出していたのですが、最後まで熱中したのは陶芸でした。 在学中に大学の近辺に工房を構える陶芸家と出逢いました。その方は「窯焚きは日本一」と言われるほどの陶芸家で体育会系の厳しい方でした。そのおかげで薪の窯での本格的な陶芸を学べ ました。
 
卒業前には、同時進行で就職活動と陶芸修行をしていました。ですが陶芸の奥深さに魅せられていた僕は、陶芸一本に絞ることを決意しました。
 
 
 【もりたうつわ製作所】

修行に打ち込み技術を身につける

鍛錬をしていく中で、別の技術も修得したいと思い、静岡在住の陶芸家にも師事しました。 修行時代は、朝から晩まで薪割りや土作りをしていました。
本来なら数年は修行するものですが、器自体は作れる状態だったので、 早く独立し独自の作品を生み出したいと考えていました。
静岡で学び始めた年に祖父が亡くなり、これは一大事だと高知の実家に帰ってきました。
 
実家がコンビニを経営しているので、手伝いをしながら陶芸をしようと、陶芸教室を始めたのが始 まりです。
東京から静岡へ移り住み、半年後に帰ってきたのが2006年。 その翌年に陶芸工房を設立。そして2015年に現在の「もりたうつわ製作所」を場所を移転して立ち上げました。
 
 
 
【もりたうつわ製作所】 

安定した品質を求めて

独立の際に師匠に「お前は、教室をしたいのか、作品を作りたいのかどっちだ?」と聞か れたことがあります。「両方したいです」と(笑)。 ただ一番最初に収入になるのは教室だったことも あり「まずは教室をやりたいです。生徒 さんから得られるものもあると思うので」ということから始めました。初めて土を触る人の作るものがすごく良い場合もあるし、「こんなやり方 が!?」というような発見も あったりします。様々なことを参考に知識として何らかのときに使うというような形で、 日々勉強させてもらっています。

現在は電気窯を使用していて「形作り」をメインに製作しています。釉薬の研究もしているので すが、今はとにかく形を突き詰めていこうかと考えています。また大量受注にも応えられる 形でネットでも販売をしています。手作りのため1点1点が 微妙に違いますが、極力個体差のない安定した作品を心がけています。

電気窯だとほとんどムラができません。1から10までを指標とすると1程度しかムラは出ませ ん。灯油窯やガス窯では5~6程のムラが出て、薪の窯ですと10。かなりムラが 強く出てきます。 窯焚きは1点1点違う面白さがあります。でも同じものが中々出来ない のです。ネットで販売するにも向いていないということもあります。電気窯はスピードも 比較的に早く仕上げることも できます。飲食店などから大量に発注をいただいた場合にも、すぐに対応できる為には最も良いのかなと思っています。

 
 
【もりたうつわ製作所】

使い勝手の追求

作る際に心がけていることはまず「使いやすさ」です。 カップ類の持ち易さは取っ手の作り方で全然違いますし、口元一つで飲み易さが変わります。形を作る際は、そういった点を特に大 事にしています。
 
また常に使い手のことを考えています。もの作りとしては基本ですが、それは忘れてはいけないことですね。以前お客さんからの注文で「自助具」という器の依頼を受けたことがあります。 体の不自由な方が使いやすいように考えられた食器ですが、それを作る際に食事における器の役割を凄く考えさせられました。
 
お客様の意見は聞きいれる方だと思います。使い勝手など実際に使っていただく方の生の声は大 切にし、改善しながら活かさせてもらっています。 自分でも作ってみて試行錯誤しながら、 出来たのがベースとなる形。ベースができるまでは 時間がかかりますね。家族や友達に実際に使ってもらって、というような繰り返しを行っています。
 
 
 

お客さんからの声が何よりの喜び 

陶芸を続けていて良かったなと思うのは、生活の中で使っている様子が見れた瞬間ですね。 「この前購入した器、使い易くていいよ」と言って下さることはもちろんですが、SNSで僕の器を 使ってアップしているのを見ると凄く嬉しいですね。
 
現在製作している作品は揃える楽しさがある作風にしています。少し模様や色、形を変えたりしています。食卓で同じ食器が並ぶ、家族で同じ食器を使う一体感を体験して頂きたいですし、 そんな空間に携わっていきたいです。
 
 
 
【もりたうつわ製作所】

人と交わり、新しい価値を生み出す

周りからは「人との関わりで作品が生まれていくよね」とよく言われます。また、地元の社会教育委員や消防団の活動もしていて、地域との関わりを大切にしています。製作のみに専念させ ている方よりも、どちらかというと対外的なのかなと思います。土佐市内外を繋ぐコミュニケーションの場として、地域活性化にも繋がっていくような活動をこれからも 続けていきたいで す。
 
これまでも人とのつながりから生まれた作品が多いです。味噌壷は初めてのコラボ作品です。きっかけは、共通の趣味で知り合った味噌屋の四代目との繋がりからです。「味噌などの発酵文 化を取り戻す」というコンセプトを基にデザイナーを交えて製作したコラボ作品で す。
 
陶器は良い状態で菌を蓄えることができ、それを発酵させることができます。「これは面白いな」と。これが初めての共同製作でした。工房では味噌作りのワークショップも行っています。 味噌を1から作り保存するための「うつわ」です。
 
陶芸では今後も異業種の方々とコラボしていきたいです。相乗効果があるので好きですし、楽しいですね。
 
 
 

【もりたうつわ製作所】陶芸の楽しさ、奥深さを伝えたい

陶芸の製作に限らず、陶芸に絡めたイベント企画も積極的に行っていきたいです。高知は 文化を発信する場所が少ないのかなと。それなら自分でやってみようかなと。きっかけは 2014年に 地元の結婚式場で個展を開催させて頂いた時です。「なんで土佐市にギャラリーないがやろう?」と。そして翌年、土佐市に大きめの広さを設けた工房を立ち上げました。

その年に婚活陶芸「うつわ婚活」も行いました。婚活は陶芸とは中々結びつかないようで、やってみたら意外と面白くカップルも多く成立しました。婚活も一つの形。文化を知ってもらう対 談や作家さんの展覧会など、文化的なことを発信していく。数十人規模でコアなイベントを発信していきたいです。

古物のテーブルや食器棚をディスプレイに使っているのですが、昔ながらの棚や机ってど んどん捨てらているのを見て、勿体無いと。昔のモノは良い素材が使われていますので、こうやっ て「ギャラリーで展示するだけでもカッコ良いよ。」と。そういう形 で提供することで、「これってこういう使い方ができるんですね。家の机もこうやって使うてみるよ」と。そうやって 良さを再発見することもすごく重要なことなのかなと。今のこの時代に、もう一度日本の本来のモノや文化を見つめ直すきっかけを作れたら良いなと思っています。

『昔ながらの良さを取り戻す』そういう気持ちにさせるモノがあってもいいのかなと考 えています。お茶農家さんからも依頼があり、茶器もそのような形でのコラボでした。「もりたうつ わ製作所」では急須は高価な部類。『急須があることで、お茶が入れたくなるような気持ちにさせる陶器』を作る。お茶離れしている中「この茶器があるから、あそこのお茶を買おう。」 とか一体感で美味しい。という物語を作っていきたいです。


インタビュー後記

森田さんの作品は、使い勝手が良く素朴なぬくもりを感じます。
「陶芸をもっと身近に感じてもらいたい」という想いから、年代を問わず幅広く愛用いただけるデザインです。
森田さんは見かけは温厚そのものですが、陶芸の製作だけにとどまらず陶芸を絡めた地域活動や出会いイベント、異業種とのコラボイベントも積極的に行っています。
また陶芸の楽しさ・奥深さを伝えるため、昔ながらの文化を伝えていく活動にも励む熱い想いのある方です。

「もりたうつわ製作所」作品の販売も行っております。

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