土佐清水・竜串海岸の森にひっそりと佇む「海のギャラリー」は、数万点の貝を展示する、日本でも希少な貝類専門の展示館。けれど、この場所の魅力は“貝の多さ”だけではありません。足を踏み入れた瞬間、まるで海の中に迷い込んだかのような幻想的な空間に包まれます。
建物そのものが“貝”のアート
設計を手がけたのは、日本建築界を代表する女性建築家・林雅子氏。二枚貝が開いたような形状の屋根、ガラス張りの展示ケース、天井から差し込む光…。
全体が「海の中で貝を見る感覚」を表現するようにデザインされており、建築好きにもたまらない名作です。
2003年には「日本におけるモダンムーブメントの建築100選」に、2019年には国の登録有形文化財にも登録されました。
海の世界を歩くような展示体験
館内では、大きなものでは1m超、小さなものは1mm以下という多種多様な貝が、独自のレイアウトで展示されています。
特に2階中央のガラスケースでは、上からも下からも貝を観察でき、裏側までじっくり楽しめるのが特徴。
まるで海中を漂っているかのような感覚に。
静けさに包まれる空間設計
1階はあえて窓を設けず、暗がりの中に天窓から自然光が差し込む設計。その光が展示台を照らし、まるで水面のきらめきを見ているかのような美しさです。
宇宙船のようにも見える構造は、どこか非日常を感じさせてくれます。
テラス席は無料開放。
自然との一体感を
館内の一部、一階のテラススペースは入館料不要で利用でき、天気の良い日には外の風を感じながらゆっくりと過ごすことができます。
さらに2階へと続く階段をのぼり、ドアを開けると目の前に広がるのは、木々の緑や桜の風景。まるで展示室から自然の中へとつながっていくような、開放感あふれる瞬間が待っています。
静かに“海”を感じる、
大人のための美術館
SATOUMIや足摺海洋館といった人気施設のすぐそばにありながら、海のギャラリーはどちらかといえば“静けさ”の中で感性を深める場所。
きらびやかさはなくとも、ひとつひとつの展示と建築が静かに語りかけてくるような、そんな空間です。
自然が好きな人、建築が好きな人、そして静かな時間を過ごしたい人にこそ訪れてほしい、隠れた名スポットです。
海のギャラリー
高知県土佐清水市竜串23-8
入場料 個人:大人300円、小・中学生100円
※小学生未満:無料
営業時間 7月、8月:9時~17時 9月~6月:~16時
木曜定休(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始の木曜日は開館)
駐車場 大型2台、普通車70台
0880-85-0137
公式WEB:umi-no-gallery.jp
facebook:海のギャラリー
X:@umi_no_gallery
Instagram:@uminogallery