創業70年を迎える有限会社チカモリは、全国でも有数の角留め箱の製作を行なっています。今回、3代目の近森昭彦さんにモノづくりの背景についてお話を伺いました。
創業70年を迎えるギフト屋。
1926年 (昭和元年)に創業したチカモリ商店。元々、手漉き和紙に柿渋を塗ったカッパの製造販売をしていました。
その後、鯉のぼり・うちわの製造販売を始め、1952年から贈答品(引き出物・カレンダー・タオル・マッチなど)販売や紙箱の製造を始めました。製作できる紙箱は「貼箱」、「平留め」、「角留め」の3タイプ。
手加工に近い、古い機械を使い製作しています。また、どれも抜型などを使わないためオーダーで箱作りをすることができます。名入れなどの箔押し、空押し加工も行なっています。
シンプルで、
飾らないデザイン。
元々、角留めは製造していませんでしたが、土佐市でもくめんの製造販売を行なっている戸田商行さんから、「角留めの箱を作れないか」という依頼をいただきました。
その依頼をきっかけに、角留め箱の製造を始めました。工場に角留め機械はありましたが、商品としては販売していませんでした。というのも、角留めは昔の貼箱の構造体(針金で仮留めしている状態)なのです。通常は、角留めの後に紙を貼り、貼箱にします。
角留めは、板紙を曲げている部分はハーフカット(紙に半分刃を入れて折り曲げる)をしているため、紙の強度が半分になっています。構造上強度は弱めですが、板紙のナチュラルな質感と角に曲がった独特な留め具のデザインが人気です。
作業効率が悪く、手間がかかる。
それ故に、魅力がある。
今の機械と比べると精度も良くありませんが、だからこそ、手仕事ならでは味のある風合いに仕上がります。
手間暇かかりますが、オーダーで角留め箱を作ることができることが弊社の強みです。
現在は県内よりも、県外や海外から問い合わせを多くいただいています。
オーダーで受け付けている針金の素材は鉄で、銅と銀の2種類のカラーがあります。紙の種類は、全7種類です。紙の厚さは1種類のみで、角留めと平留めに最適な厚さにしています。
箱作りでは、お客様から思いもしなかった提案をされることがあるので、お客様から学ばされる機会も多く、大変勉強になります。
全国でも有数の
角留め箱が作れる。
角留めは、留める作業にも技術を要します。現在では機械化や後継者不足の影響で、全国でも数えるほどしか生産できる設備がないので希少な紙箱となっています。
また、角留めの機械自体、現在ではどこも生産していません。定期的なメンテナンスは自社で行い、重要な部品は高知の事業者さんに作っていただいています。
生み出すモノを、
大事にする方へ。
生み出す商品を「より良く魅せたい」「大事にしたい」と思っている方は、箱にもこだわる方が多いです。そういった方々とお仕事をすると、やっぱり刺激を受けますし、全力で応えたいと思いますね。
これからも、「chikamori」の強みを生かした箱作りに努めていきたいです。