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あっさり健康的な「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」川村章浩

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

鍋焼きラーメンに
行き着いたワケ

 嫁さんが須崎市出身で、結婚してから須崎に住んでいました。
ラーメン屋によく食べに行っていて、高知市にラーメン屋は多いけれど、鍋焼きラーメンの店は少ないことに気が付きました。
本川村がキジの生産に力を入れていて、キジが美味しいということを知っていました。
「キジを使った鍋焼きラーメンにしたら、流行るんじゃないか」と鍋焼きラーメン屋を始めることにしました。
新しい高知の名物にしたいと思い、「あきちゃんのキジ鍋焼きラーメン」で商標登録もしました。
それは誰もやっていなかったのですが、キジは値段が高いので毎日出せない。
なので、通常は親鳥を使った鍋焼きラーメン。週に2回限定で、キジを使った鍋焼きラーメンを提供することに決めました。

開業するも集客に苦戦し、
約1年半で升形に移転

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

 退職後、2015年4月21日に「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」を高知大学の正門の横で開業。
ところが、一番来てほしい大学生に、ほとんど来てもらえませんでした。
なぜか? と分析すると、学校内に安価でボリュームがある学食があり、校外に外食する割合が少ないことが分かりました。
「リサーチ不足」「準備不足」だったと反省。悩んだ末に、約一年半で升形に移転することを決断しました。
この失敗があったからこそ、今のより良い鍋焼きラーメンがあると自負しています。

あっさり健康的な鍋焼きラーメン

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

移転後、通常の鍋焼きラーメンもオリジナリティを出すために、大川村の「はちきん地鶏」を使った鍋焼きラーメンを作りたいと思い、試作の日々。
試行錯誤の研究の末に、「はちきん地鶏」と高知県野菜を使った鍋焼きラーメンが完成しました。
ちょうどそのタイミングに高知県が「高知家健康パスポート」という事業を始めました。
それに採択されるためには、低カロリーで3g以下の食塩量という条件がありました。「僕が作っている鍋焼きラーメンはどのくらいなんやろう?」と思って、「高知県食品衛生協会」に持って行きました。
すると315kcal、塩分2.9gで「高知家健康パスポート」に採択され、低カロリー低塩分ということを公的な機関からも認めてもらえるようになりました。
なおかつ高知県の素材を使うことで、他のラーメン屋と明らかに差別化ができたんです。

小さな心配りを大切に

 その時々で、時代やお客さんの変化に合わせた味を作っていかないといけないと考えています。
一つの鍋焼きラーメンに対してもお客さん一人一人、性別や年代に合わせて、ほんのわずかなサジ加減で味を変えて出しています。
麺の固さも好みがあるので、男性は固めで女性はちょっと柔らかめで出すとか。
食べ終わった後にお客さんに感想を聞いて、「この人は次からこうしよう」とか、常連さんになってくると「ドンピシャやった!」と感じられる一品ができます。そうなるとお互いが嬉しいので、作り手としてやりがいを感じます。
起業する前に、商工会議所の担当から一番言われたのは、「10人の満足は10人の不満足」ということです。
僕が美味しいと感じるものは、必ず全員が美味しいと感じるわけではない。
美味しくないと言われたとしても、その味を変えてしまうと僕のものではなくなるので、それは仕方がない。
じゃあ、僕が「美味しい」と思うものに対して、とことん美味しいものを作ろうと決めました。

化学調味料を使わず、
素材の味を引き出す

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

鍋焼きラーメンは、蓋を開けたときの「香り」と「見た目」が大事。
まず、美味しそうじゃないとダメなんです。沸いているので、アクも出る。
麺を入れる直前まで、徹底的にアクを取っています。
あとはカラダに負担がかからないように作っています。
僕の鍋焼きラーメンは、水を飲まなくても食べられるんです。
みなさん、食べ終わってから、思い出したように水を飲んでいます(笑)
普通ラーメン屋に行ったら、食べていると喉が乾くので水を飲むのですが、僕のラーメンは化学調味料を使っていないので水を飲まずに、あっさり食べれます。
使っているのは、須崎の「マルキョー醤油」のみ。薄口と濃口の配合です。
できるだけ、高知の旬の素材を使ったメニューを作っています。
アレルギーのお客さんも多いので、卵アレルギーの人でも食べられるメニューにしています。
「ちくわ」は普通は卵白を使うのですが、ウチの「ちくわ」は卵白を使っていません。生卵を退けたら食べれるんです。麺も卵を使っていません。

食の大切さを伝えたい

 食によって人は作られます。お腹を満たすだけの食事を続けていたら、カラダに良くないし、早死にすると思います。
ラーメンが好きだったので色々食べたんですけれど、そのときに美味しいと思ったラーメンは、今食べると美味しくないんです。それが面白いところで、当時美味しいと思っていたものは、ことごとく今の舌に合わないんです。
食べると舌が痺れる。
僕自身、食べると化学調味料を入れているか入れていないか、一発で分かるようになりました。
それを商売として悪いとは言わないんですが、僕は正しい味覚を持った子供に育ってもらいたい。
自分の子供に自信を持って出せれるものをお店に出しています。
僕のラーメンを食べにきてくれるというのは、一つの縁。一食をまかなえて、その人の一部になってもらえるというのは作り手として、すごく光栄です。

地域になくてはならない
鍋焼きラーメン屋さんに

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

 今は「須崎の鍋焼きラーメン」が定着していますが、「あきちゃんの鍋焼きラーメン」と覚えてもらいたいです。「あきちゃん」と聞くと、「鍋焼きラーメン」というイメージが湧くように。
なおかつ「美味しくて、安心安全な食事なんやで」ということを多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。
客層は女性や小さいお子さんが多く、地元に根ざしたお店になってきたかなと感じます。
僕が子育て世代ということもあって「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」では、家族連れで来やすいお店りを目指して、禁煙で清潔、明るいお店にしています。
升形の1号店には座敷がないのですが、鴨部の2号店は座敷席もあって、子連れでゆっくり座れるようにしました。
「高知県の素材を使った安心安全な食の提供」はブレずにやって行きたいと思います。
サンプラザ鴨部店内にあるので、「ココにこの店がなかったら困る」というくらい地域に必要とされるお店になるため、一杯一杯に対して、思いを込めて作っていきます。

最後に嫁さんに感謝

鍋焼きラーメン専門店「あきちゃん」

とにかく、嫁さんには感謝しています。どんなときも支えてくれます。
売上が思わしくない時期も後押しをしてくれました。
店名も、僕の名前が「あきひろ」で「あきちゃん」と呼ばれたこともなかったのですが、嫁さんの「分かりやすくて、覚えやすい名前がえいがやない?」という一言で決めました。
起業するとき、公務員で40歳手前でした。嫁さんに「公務員を辞めて、やりたいことをやりたい」と言ったら「それで食べれるがかえ?」と返されましたが、「辞める」が先に立っていたので「何が何でも食べらす」と応えると「一緒に頑張ろう」と言ってくれました。
そして最後に嫁さんへ。
もっと苦労かけるけんど、よろしく(笑)
けど、子供にも嫁さんにも胸張って「この人でよかった」と言ってもらえるような旦那さんになります。

編集後記

はじめて「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」に食べに行ったとき、0歳のお子さんを抱きながら接客しているスタッフさんに驚きました。
「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」の魅力は、味が美味しいのはもちろんですが、お客さんとの距離が近く、親しみやすい空気感があること。章浩さんの人柄が成せるワザなのかと感嘆しました。
やりがいを感じる瞬間を尋ねると、
やっぱりお客さんに「ありがとう」だけじゃなくて、「美味しかった!」と言われるのが嬉しい。
一番言われるのが、「ウチの子は外食に行っても残すことが多いんだけど、足らんかった!」と言われます。
「足らんき、ラーメンを追加でもう一個くれるか!」と言われるのがたまらん瞬間です(笑)
 と満面の笑みで答えてくれました。
「鍋焼きラーメン専門店あきちゃん」、訪れたことのない方は是非一度行ってみてください。どんどん食が進む鍋焼きラーメンなので、また来店したくなること請け合いです。