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Factory / ものづくり

おいしく、体に良い塩作りを。海工房(kaikobo)

高知県西部に位置する黒潮町で、天日手揉み塩を製造する「海工房」。代表取締役 西隈隆則さんに塩を作り始めたキッカケから塩にかける想い、そして塩にまつわる深い話を伺いました。

塩作りのきっかけは、
問題意識から。 

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」私は自然塩復活運動の一環として、塩作りをする「生命と塩の会」の立ち上げに関わっていました。専売公社の許可を受けて、高知ではじめて塩作りを始めたのです。
あわせて、無農薬の野菜を作りながら、引き売りの八百屋もしていました。
 
ある時期から、取引先の自然食品を取り扱うお店に「アレルギー対応食品」なるものが、どんどん増えてきたことに気づきました。
店主にそのことを尋ねると、「牛肉も豚肉も鶏肉も食べられない子どもたちが増えてきている」と言うのです。「いったい何が起きているんだ!」と驚きました。
 
原因は食べ物ではないかといわれていましたが、もしそれが農薬や食品添加物ならば、もっと早い時代から現れても良いはず。なぜなら、農薬も食品添加物も50年代、私が子どもの頃からあったからです。「原因は別のところにあるのではないか」と思いました。
 
 

免疫不全症が増加するように。

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」突き動かされるように原因を調べ始めました。

1971年4月に「塩業近代化臨時措置法」という法律が成立し、日本で伝統的に自然塩を作っていた塩田がすべて廃止されたのです。
この結果、工業的に作られた化学塩のみが生産されるようになりました。
 
高度経済成長の工業化の中、塩田に使っていた土地は工場になりました。工業用にはコストの高い自然塩でなく、工業的に安く作れる化学塩が必要だったようです。
 
それから10年ほど経った頃から、アレルギー、アトピー、花粉症などの免疫不全症が年々増加してきました。いまや新生児のうちの2人に1人が、なんらかのアレルギー性疾患やアトピー性皮膚炎になっているそうです。
 
日本の塩がミネラルたっぷりの塩田の塩から、ミネラルが0.01%程しか含まれていない「イオン交換樹脂膜製塩法」の化学塩に変わり、その塩だけを10年以上も摂り続けてきたことが原因があるのではないかと疑いました。
 

体に必要不可欠なミネラル。

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」
 
当時はミネラルの重要性が一般的に認知されていませんでしたが、今では塩田の塩の中にある成分「ミネラル」の重要性が注目されてます。

ミネラルは、5大栄養素の一つでもあり、厚生労働省によって亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレンなど、13元素の総称としても定められています。
これらのミネラルは体内で作り出すことができないので、適度な量を食事などから摂ることが重要です。量が少なすぎても、多すぎてもさまざまな病気の原因となってしまうのです。
 
その核心に迫ったことを「消えていくニガリ - 誰も知らない塩の話 - 」で書いています。
詳細な内容は、書籍を読んでみてください。
 
 

独立し、海工房を設立。

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」私はミネラルの欠乏が免疫不全症の大きな原因だと思い至り、引き売りの八百屋を辞めて、「生命と塩の会」で高知の塩作りに取り組むようになりました。
10年後には「生命と塩の会」を退会し、2003年に独立。「有限会社 海工房」を設立しました。
 
私たちの工房は、立ち上げ当初から業務用をイメージし、大きめの「かん水装置」を作りました。塩の元になる「かん水」を作る「ネット式立体塩田」です。
 
当初、10年先を見据えて設備投資したのですが、ほとんど売れませんでした。2人雇っていたので、本当に大変でした。立ち上げから7,8年は死にそうでしたね。
 
ですが、「時間をかけたら、売上は増える」「良いものを作っていると、客が客を連れてきてくれる」と信じていました。良いものを作ることが営業だと思っていたのです。
 
結果、商品を通してじわじわとクチコミが広がり、10年目くらいで、なんとか黒字になりました。
 
今では、カツオのたたきを提供する明神食品(株)や各地の飲食店など、業務用を中心にお取引させていただいています。
 
 
 

粒が細かく、
まろやかな手揉み天日塩。

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」私たちの工房では、独自のこだわりを持って塩作りをしています。一番の特徴は「手揉み」です。手揉みをすることで、粒が細かく、まろやかな塩になります。
 
熟練の職人ひとりひとりに割り当てられた温室ハウスで、責任をもって塩作りを行っています。
 
塩作りの過程は、毎日、丁寧に撹拌(かくはん)することで、少しずつ塩が結晶化し始めます。
その塩を日に2度、やさしく揉みほぐします。夏季は約10日、冬季は約4週間かけて、ゆっくり結晶していきます。
 
採塩の際には、遠心分離機で脱水。ふるいにかけ大粒や不純物を取り除いています。
 
夏場は塩の出来るスピードも早く、気温の上がる前の早朝から手もみをしています。
たくさんの気遣いが必要。だからこそ、こだわりが深まり、よりおいしいお塩ができます。
 
 

おいしく、体に良い塩を。

天日手揉み塩を作る黒潮町の「海工房」「どうやったらおいしく、そして体に良い塩を作れるのか」ということを念頭に、塩作りをしています。

私たちが作る塩は、塩分濃度が約90%で、塩以外のミネラルが10%ほど含まれています。
おいしさと、体に良いバランスを考えて作った塩です。お客さんからは、「この塩を使いはじめたら、他の塩は使えなくなる」という声をいただきます。

毎日使う塩だからこそ、おいしくて、体に良い塩を食べてもらいたいのです。
そして、私たちの作る塩を通して、免疫不全系の病気の改善につながれば何より嬉しいです。

 

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