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Column / コラム

土佐茶PRの先頭を行く「日本茶インストラクター 」柿谷奈穂子

本当はずっと繋がれていた、お茶との縁

そんな土佐茶の魅力と実情について、柿谷さんが知るキーパーソンとなったのはご主人ですが、もともと“お茶”とは切っても切れない関係にありました。

実は母も祖父も茶道の師範代で、今思えばお茶は昔から身近なところにあったんです。でも近いからこそ、その道はプロ過ぎるというか、堅苦しいイメージがあって……あえてちょっと離れようとしていました。

2013年、結婚を機に高知へ移住してからも「お茶に関わる仕事がしたい」と探していると、「土佐茶カフェ」の中野さんの紹介もあり、県内2位の茶葉生産量を誇るJA津野山で臨時職員となります。
でも、いざ職業として土佐茶、津野山茶の普及に努める立場につくと、“日本茶インストラクター”の肩書きが重くのしかかってしまったそう。

今だから笑えますが、初めて出席した販売戦略会議で「インストラクターって何や、姉ちゃんの遊びには付き合ってられん!」生産組合の方に言われたのが、もう悔しくて……じゃあ、がむしゃらにやってやろうと(笑) 最終的に販売金額が伸びた時、「あんたにならお茶を託せる」と言ってもらい、自分の思いが伝わったと実感できました。

もちろん、いくら必死になって職務に励んだとはいえ、成果がすぐに出たわけではありません。高齢化が進む茶葉農家は5年10年と結果を待つことは出来ず、生産・販売額のV字回復を期待する一方で、実際には下がるのを食い止めるのが精一杯の現状。

自分自身がお茶を育てているわけではなく、消費者と生産者の間に挟まれている立場なので。ひとつひとつのアドバイスが本当に正しいのか、いつも迷っていましたし……とにかくもどかしかったですね。

偶然の出会いから生まれた、アイデアで勝負する

そんな柿谷さんが苦境を打ち破るひとつのカギとなったのが、今や県内外30を超える飲食店で提供されているビヤカクテル「津野山ビール」
ビールに合わせるのは、一番茶に覆いして育てることで煎茶よりも渋味が抑えられ、甘味・旨味の強い「かぶせ茶」をパウダーにしたもので、鮮やかな緑色と爽やかな味わい、お茶の栄養素をそのまま摂取できるヘルシーさで注目を集めています。

JA全農こうちさんの依頼を受け、2014年に「かぶせ茶パウダー」を開発したんですが、なかなか売れなくて。どうにか地元でのニーズを作り出さなければ、と悩んでいました。

この革命的なカクテルのアイデアが生まれた瞬間は、なんと夏の風物詩・よさこいで給水ボランティアをしている最中でした。

水出しの津野山茶を配っていたら、ほろ酔いのおんちゃんが近づいて来て「ビールが良いなあ」とつぶやいたんですよね。ビール好きの高知人にお茶を飲ませたいなら、混ぜちゃえばいい! って、呑兵衛の偶然による産物ですね(笑)

居酒屋では、焼酎を緑茶で割るのはすでにお馴染みとなっていますが、ビールは意外性があり、美しいグリーンで見た目はインパクトも強く、たちまち人気に。柿谷さんはまたしても、人との出会いからお茶の世界を広げます。

形にこだわらず、お茶を通じて繋がり、繋げたい―――人と人、想いと想い

2016年4月に独立し、フリーランスとしてJA全農こうち「土佐茶プロジェクト」にも携わるなど、土佐茶の普及や販路の開拓に励む日々。活動の一環として同年10月、津野町で初となるマルシェ形式のイベント「ツノチャマルシェ」を開催しました。

津野町から「お茶を使ったイベントをしてほしい」と頼まれたんですが、どこにでもあるお祭りにはしたくなくて。お茶は津野町産限定で、出店条件も“お茶しばり”。テントを白で統一する、黄色のガーランドを飾るなどの見た目のこだわりは、出店者さんにも喜ばれました。

当日はオシャレに感度の高い若い女性が多く訪れ、終了後に出たゴミの量が非常に少ないなどお客さんもマナーも良好。2017年に予定されていた第二回は、悪天候のためあいにく中止となりましたが、今年は10月の開催を目指して準備を始めているそう。

移住者でありながら“土佐茶”のブランドにとことんこだわり、そのファン拡大にひた走る柿谷さんにとって、やりがいを感じるのはどんな時なのでしょうか。

ワークショップやイベントに参加してくださった方から、「明日から、地元のお茶を買って飲みます!」と言っていただくと何より嬉しい。単に「土佐茶って美味しい」と思うだけではなくて、何で美味しいのかを理解して、“茶葉を買う”ことに意味を見出してもらいたいんです。

最近は、子供のころにあえて敬遠していた茶道にも、改めてチャレンジしてみたいと考えているそう。

この世界では、お茶を通じてできる人のつながりを「茶縁」といって、大事にするんですよ。

お茶を語る柿谷さんは、心の底から楽しそうな笑顔を絶やしません。
土佐茶をひとつのメディアとして、生産者と消費者はもちろん、茶器をはじめとした道具や販売、飲食業界に関わる人たちを繋ぐ役割を果たしたいーーー。

柿谷さんが“人”を通じて出会った、“お茶”の世界。
今度は自ら、“お茶”を通じて、人々の出会いの輪を広げる挑戦を続けます。

 

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