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Creator / 作家

【SATOSHI TANI / 谷 智】シルバーアクセサリーを用いて「キレイ」を具現化させる

自然をモチーフに独自のフィルターを通して表現するジュエリー作家の谷智さん。学生時代からの目標であったジュエリー作家として活躍されています。彼の作り出す作品にはそれぞれに物語があり、聞くほどに引き込まれていきます。今に至るまでのお話を伺いました。
  
 【a.c.t / ジュエリー】谷智

ジュエリーとの出会い

 アクセサリーに興味が湧いたのは中学校3年から。縁日に売っているアクセサリが好きで、1セント硬貨に穴を開けてネックレスにしたりするうちにアクセサリーを作りたいと思う様になりました。そこでシルバークレイという銀粘土のスターターキットで作ったのですが、どうやってもひび割れるし汚くなってしまうんです。
 
その後、土佐中高の引退した先生が教室をしていることを聞き、習いに行ったことが作り始めのきっかけです。バイト代を貯めて習いに行っていました。中高と学んでいるうちにジュエリー製作の仕事をしたいと思うようになりました。
当時は、美術大学でつぶしがきく教員免許を取得するか、ジュエリー専門学校でジュエリーを専門に学ぶのかを悩みました。
 
結果的に大学で4年間ゆるゆる学ぶよりも、2年専門学校で集中して学ぶ方が技術が身につくだろうと「ヒコ・みずの・ジュエリーカレッジ」へ入学。ジュエリーにまつわる様々な技法を身につけることができました。
振り返れば、早い段階でやりたいことが見つかり一直線に生きてきたように思います。
 
 
 

a.c.t ジュエリー ジュエリー作家になるために

専門学校を卒業後、大手だと分業化され全ての工程に携わることができないと思い、1から10までできるだろうと東京都足立区の比較的小さなジュエリー製作会社に就職。ですが、入ってみれば本当に朝から深夜過ぎまで働くのが当たり前というようなハードな職場で2年間勤務しました。
 
その後、帰高しジュエリー販売の仕事にも携わろうと高知市内のジュエリーショップでジュエリーアドバイザーとして販売業務に就くことに。販売の仕事は現在の展示会での接客に活きているように思います。翌年、製作の時間を増やしたいという思いから退職し、アルバイトをしながらジュエリー製作を行っていました。
 
なかなか安定した収入が得られない時期が続きましたが、中高の後輩がお店を紹介していただいたり、東京でお世話になっていたショップから「うちに置かないか」と次第にお声かけいただけるようになりました。そこから徐々に作品数を増やしていきながら、個展を開催することに。ようやくアルバイトを辞めることができ、少しずつですがお客さんも増えてくるようになりました。
 
 
 
 【a.c.t / ジュエリー】谷智

作家というフィルターを通して世に出す

元々はスカル、スター、クロスなど定番の形のデザインをずっと作っていたのですが、高知に帰ってきた瞬間くらいから作らなくなりました。今の自然モチーフです。身近にあるけれど身につけられないものをデザインするような形。一瞬を切り取ったような空想と現実を半々にしたようなデザインです。
 
作るときは、まずモノに触れてから。「砂丘」シリーズでは、砂丘や砂漠も行ったことがないのですが、砂を1日いじっていました。頭の中の空想と現実を組み合わせるような感覚です。「水」シリーズの雫だったら、水道の蛇口を開けて1日眺めていたり。
 
当初は、ブランドというものはシリーズとしてなければならないという観念がすごくありました。シリーズを広げていって、思いつくのは普段生活をしていて「コレ綺麗だな」と思うものを形にします。高知は海や川が近く、キラキラ光っていますよね。すごく力強く、太陽の光が強いほど、より強く反射する。「ミラー」シリーズはそこから着想を得ています。形もミラーボールのような形にしています。これは元々、水面のイメージです。
 
「樹」シリーズは、「シルバーは酸化して黒くなるから嫌だ」という声が多くて、「じゃあ色が変色しても面白いものを作ればいいんじゃないか」というところから、木の溝の部分が黒く変色していっても樹齢を帯びた大木のようになり、付けていくうちに育てていくというコンセプトで製作しました。
 
 
 
 
 
 a.c.t ジュエリー

細部の作り込みに感銘を受けた

今の作品作りで影響を受けたのは、プフッツェというジュエリーブランドの北康孝さん。作風も好きなのですが、特に製作に対する姿勢は特にリスペクトしています。美大出で細かな絵を描いたりしているのですが、細かさがとにかく凄い。平面を出すときはサンドペーパーで磨くのですが、400、600、1500と番数を上げていって、その方は最終的に砥石で磨くんですよ。4000番とかで!(笑)これは凄い!と。
 
そういった細かいところ。本来はそこまでしなくても完成しているのですが、人が良いと思う基準を超えた上で、さらにその上をいくクオリティを出しています。無意識に飛び込んでくる部分。一瞬で心惹かれたり、何となくキレイだなと感じだり。「神は細部に宿る」といいますが、その違いが作品に出ているのだと思います。数値にすると0コンマ数ミリの違いなのですが、そうするかしないかで出来具合やパッと見の印象が違ってきます。そういった部分を学ばせていただきました。
 
※Pfütze(プフッツェ)はドイツ語で水たまりという意味。 北康孝、賀来綾子の2人でデザインから製作までを行う。 シルバーやゴールドを素材としたアクセサリーは全て自然物・現象をモチーフとしています。
 
 
 

【a.c.t / ジュエリー】谷智目に見えないモノを表現していきたい 

今は2年程前から形にしたいと思いながら、形にできていない「花火」のモチーフを作りたいと考えています。石を使ってキラキラと心躍るようなイメージです。これまでマットで静かなものが多かったので。今ある「小石」シリーズは、海辺で砂利を見ていて「小石が並んでいたら可愛いかな」ということから生まれたのですが、それとは違って華やかな作品にする予定です。
 
最終目標は、美術の世界では表現の難易度の高い「風」や「霧」など、目に見えないものを表現していきたいです。
 
またa.c.t.のジュエリーは使い捨てではなく、一生つけてもらいたい。流行り廃りではなく、その人が好きと思ってもらったモノを身につけてもらえると嬉しいです。今後は年に2回、個展をしていきたいとも考えています。
 
コンテストで賞を取り実績を作ることで、お客様へ恩返もしたいです。好きで買ってくださっている方以外にも、高知で頑張っているからと応援の気持ちもあってご購入いただいている方もいらっしゃいます。「高知で賞を取った谷さんの作品なのよ」と言っていただけるような恩返しをしていきたいです。
 

インタビュー後記 

谷さんは一見クールな印象なのですが、話をしていると人懐っこい性格の方だなと感じました。
インドア派かと思いきや、海や川に潜り魚を採ったり、キックボクシングをしたりとアクティブな一面があったりと見た目とのギャップのある方です。
 
作品は「経年変化」に趣を置いた作品が特徴的。
シルバーは経年変化すると黒くくすんでくるのですが、その「くすみ」を長所と捉え、エイジングするほど魅力的な作品に仕上がっていきます。
そのため、使い込むほどに愛着の湧くアクセサリーに育てることができます。
 
 
「a.c.t」谷智さんの作品も販売しています。
 

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